固定砥粒 加工テストの流れ 加工テストって何してるの?

固定砥粒 加工テストの流れ 加工テストって何してるの?

固定砥粒の何を用意して何を伝えればいいの?
質問が多いけど機密保持は大丈夫?なぜそんな事が知りたいの?

加工テストをご依頼頂くに辺り、お客様から様々な質問を頂きます。
お蔭様で新規&既存のお客様、WEBからのお問合せのお客様、多くのテスト依頼を頂いております。
ありがとうございます!

(これからもご遠慮なくお問合せ下さい!なんなら私をご指名下さい)

 

今回は私が普段行っている固定砥粒の加工テスト「手順」と「考え方」についてお伝えします。
皆様のご心配を解消し加工依頼のハードルを下げて、より多くのお問合せを頂く事が私の目的です。

このページを読み終わる頃には皆様のハードルが下がって、問合せをしたくなっているハズです!

~加工テストの進め方手順~

1.目的確認 
テスト内容擦り合わせ

目的・目標値、最終形態の聞き取りは勿論、ご使用の加工機(メーカー、サイズ、加工方式)や加工条件、希望コスト、ワークサイズ、元厚、仕上がり厚、取り代等々できる限り確認させて頂きます。

お聞きする理由は意思疎通のミス防止、お互いの当たり前を擦り合わせる事を目的としております。

※うちの機械じゃ加工条件(圧力、回転)は出来ないよ。
※加工レートはOKだけど優先は面粗度なんだよね。
※〇〇に使うのだから鏡面仕上げは当たり前でしょう。
※〇〇に使うのだから梨地が当たり前でしょう。

これらが原因でのテストやり直しは私のミスと捉えます。その為詳細をお聞きしております。
勿論、完全に情報を出せない場合もあるのは理解しております。

用途も素材も全てNG、ただこのレートを出してくれといったケースですね。
極秘も勿論大歓迎で加工致します!
この時は1人想像しまくりで逆にワクワクします。

と、当たり前の事を羅列しましたが、本当の理由はそこではありません。

本当の理由は…

頂いた目標値に向けて盲目的に作業をするのではなく、
お客様の現場で弊社固定砥粒がご使用されているイメージを持つ為。

・時には現場担当者様のイメージを固め、もっと楽な加工方法、加工条件はないか?
簡単に量産するにはどうすればいいか?を考えたり

・時には現場管理者様のイメージを固め、もっと安全に、もっと効率的にもっとコストメリットを出すにはどうすればいいか?を考えたり。
時には担当者様の予算限度額から納品を分割したり

・時には社長様のイメージを固め、人件費を含めたトータルコストメリット、投資と捉えた場合の費用対効果を考えたり。

お客様の立場に立つ事で、よりお客様が求めるデータに近づけると思っております。
故に深くお聞きするのです。

2.片面機(オスカー)評価

テスト内容確定後、工具の選定を開始します。
弊社固定砥粒のどの種類が、どの切れ方をするのか、目標値をクリアできるのはどの種類か?
小型片面機(オスカー式、φ120皿使用)にて選定します。

片面機にて確認する理由はシンプルです。

・ワーク枚数が必要最低限
(最低1枚・WAX等で張り付ける事も可)
・手返しが良く、すぐに条件変更が出来る事。
・リセットがしやすい事
(ドレス、面精度調整が容易)

・固定砥粒工具の変更が容易に出来る事
(3分程度で載せ替え)

・面率調整が容易
固定砥粒の貼り個数を変えて密度を上げたり、逆に少なくしたり)
・オスカー用固定砥粒は千数種の在庫がある為、選定しやすい。

※お客様から両面機の希望があった際や工具選定が必要ない場合には、直接両面機テストを行う場合もあります。

片面機と両面機は相関取れるの?と良く聞かれますが、問題ございません。
これまでの数千、数万回に及ぶ片面機と両面機でデータを取り続けております。そのテスト結果から相関性を確認しています。ご安心ください。

3.両面機(5B~16B)評価

片面テスト終了後、両面機にて加工します。
勿論オスカーの結果が目標に対してクリア…もしくは近い値が出ていれば…です。

そもそも片面機と相関が取れているなら、両面機テストしなくてもいいんじゃない?
実際数値としてはその通りです。

ただ…我々はお客様の加工に出来るだけ近いテストを行い、我々も納得しないとご提案致しません。
両面機のお客様に対して、両面機テストを行わずしてご提案することはありません。

見ているのは数値だけではない。
実際に加工してみると想像以上に加工抵抗があったり、
加工音が気になったり、ワレカケが発生してしまったりと
実際に両面で加工しないと分からない事があります。
「ご使用イメージ」を固めるのにも必ず必要です。

この時に、遊離砥粒より現場環境キレイだな…とか
ただ…この加工音は嫌だな…もっと静かにスムーズにしたいな…。
このバッチ並べるの面倒だな、さーっと考えずに入れたいな…。
プログラムは1つで流用したいとか思う訳です!

勿論、両面機テスト結果から問題点や改善事項が見つかれば、再度片面機テストに戻り選定を行うこともあります。
お客様から加工のお話を頂くたびにテストをしていると、気付けば棚一面に工具サンプルが並ぶような状態になりました。


※片面機在庫の一部です。

この中から研削の傾向を見出し、新サンプルを作ったり両面機へ進みます。

4.加工テスト後

テスト終了後、結果レポートを作成致します。
出来る限りシンプルに、それでいて詳しく、目的に対してどうだったか?今後どうするか?

レポートを元に打合せ(WEB・対面・TEL・メール)を行い、今後の方向性を決めます。

・ご購入となれば、お見積もり、納期の調整へ
・目標値に到底届かないとなれば、開発からの着手もしくは一旦中止へ
・目標値まであと少し…となれば片面機or両面機にて条件出しへ

目標クリアしたのだからすぐ購入を!!などとは申しません。
皆様それぞれの事情がありますので、ゆっくりと長いお付き合いが目標です。

5.まとめ

最後まで読んで頂きありがとうございます。
如何でしょうか、ご安心頂けたでしょうか?
色々とお聞きする事が多くお手数をおかけしますが、お客様の課題を解決したい…その為にただただ知りたい、イメージしたい、ただそれだけですのでどうかお気を悪くせずに…。

そうか、わかった、色々やってくれるんだな!
ハードル下がったぞ!

そう思われた方は(私指名で歓喜)ご連絡下さい。

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