こんにちわ、研削研磨.comです!
前回までのプリズンブレイク
前回の定盤精度のお話ははこちら
前編では何も対策しないと起こる形状変化、それによるワークに起こる事をお伝えしました。
後編では、その修正方法についてお伝えします!
まずは弊社の研磨で使用している定盤をストレートゲージを使用して測定しました。
定盤形状をグラフで表すと以下の状態となります。
様々なワークを研磨した後…といえ、まぁ…酷い状態ですね…
いわゆるカモメ形状と言われる状態です。
カモメ形状では小径の製品を加工する際には影響は少ないですが、1キャリア1枚しか入らないような大きな製品を加工する場合には影響多大です。
キズや、平坦度悪化の原因となります。
では定盤修正のテスト条件です!
普段はここまで考えずに推奨条件でスパっとやってしまうのですが、今回はデータも取る為に色々と振ってみました。
・ドレッサー仕様
ウレタン用のドレッサーとしては主に#200、#400がよく使われており、
使い分けのイメージとしてはスピード重視の#200、パッド表面粗さも考慮した#400となります。
今回はスピードを重視し#200を選定しました。
ペレット配列としては汎用タイプとなる両面貼り、2列配置を使用して検証していきます。
・ドレス条件
ウレタンパッドに対するドレス推奨条件としてはペレット1㎠あたりに100~150g/㎠、
回転は9B機換算で20rpm前後となります。
今回はパッド精度がかなり悪いためまずは150g/㎠-20rpmにて確認していきます。
・ドレス時間
まずは5分間隔で精度及びカットレート(パッド除去量)を確認、
変化が遅いようであれば時間を延ばして評価を行っていきます。
なお、カットレート(パッド除去量)の確認方法としては両面機に内蔵している定寸制御装置のドレス前後の値の変化から計測します。
※定寸装置の値の変化は上下合計のパッド磨耗量となるため、片側パッドの磨耗量は半分となる。
■テスト結果
水を流しながら150g/㎠-20rpmで5分のプログラムを設定し、かけ始めたのですが
加工抵抗の影響か上定盤が異音を立てながらノッキングが発生💦
そんな状況で加工を続けるとパッド修正に悪影響なのは結果を見なくてもわかるためあわてて起動を停止しました。
そんなに強い条件ではないと思ったんですが…。
定盤精度に対して荷重が高すぎたのか?と判断し、荷重を100g/㎠に落として再度加工。
すると異音もノッキングも発生しないため、予定を変更し100g/㎠-20rpmに変更し評価を行いました。
ウレタンパッドに対しては100~150g/㎠を推奨荷重としていましたが、
今回のような状況を確認できたことで
「精度が出ていない状態の定盤に対して150g/㎠にてドレスすると異音やノッキングが発生する可能性がある」と
早速学びがありました。
(今後お客様への提案の際に注意事項としてお伝えしようと思います)
〇100g/㎠-20rpmにてひとまず5分ドレスしたところ中心部のみ一気に落ち①、②はあまり変化なし。
その後も継続して加工してみましたが、中心部に比べ①、②の変化量が少ない状況でした。
なぜ①、②の変化量が少ないのか?
A:ペレットの配置が外周2列のためパッド中心部が削られにくい
B:キャリアの剛性が足りず、上下パッドに挟まれた際に形状が倣ってしまう
Aの場合→ペレット配置を変更する事で可能…だが手持ちにない。
Bの場合→そうだとしたら元も子もない…が荷重を軽くする事で確認が可能
キャリア剛性について検証するため荷重を50g/㎠に変更し状況を確認しました。
初期20分では①、②も変化したように見え、その後40分加工してみましたが数値に変化がありませんでした。
50g/㎠と100g/㎠で差が見られないことから50g/㎠でもパッド形状に倣うとは考えにくいため、キャリアの剛性による影響ではなく別の要因であると判断しました。
〇次に削った量が足りない可能性も考え、ひたすら削り続ければ良化していくのか調べることにしました。
引き続き加工すること340分。。。①、②、中心いずれの箇所も時間とともに落ちていき遂に10μm台まで形状を修正することができました。
改善傾向であることがわかったのでここでタイムアップッ!
評価を終了しました。
元形状と比較するとこうなりました。
【結論】
今回は数値極悪の所からデータを取る為に加工したので、時間がかかりました。
が、実際の使用機であればここまで悪化する事はそうないと思いますし、
ここまで時間がかかることもないと思います💦
こうなる前に、大きく崩れる前に修正が必要ですね。
おっ…?そう考えると何事もそうですよね。
例えば資料作成を依頼されたとして…依頼者の思いとは違うかもしれないので、完成の前、外枠が出来た段階で相違がないか確認をする…とか。早めに修正を入れる事でお互い楽になる系です。
ゴルフのフォームとかもそうじゃないですか?
変な癖がつく前にスクール通った方が良いよ!と言われたものです…私は変な癖がついて修正不可です!
三つ子の魂100まで…というコトワザもありますね。
ちなみに今回使用した修正キャリアはこちら。
軽いのでハンドリングもよく、精度もしっかり治りました。