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両面ラップ機の上下盤の仕事量(研磨量・ラップ長)について考えてみた

両面ラップ加工を行っている中で、平坦度は気にする数値です。
ただなぜか平坦度が出ない時ありませんか?

特にワークの上下の面積が違う特殊なワークの場合(三角錐の頭を切った様なワークとか、台形の立方体のようなワークとか…片面だけ穴があるとか…)
当然上下面の面積が違うので、圧力も変わります=切れ方も変わります。
ワークの上面ばかりが切れてしまう…とか。下しか切れない…とか。
上下面で材質が違うから切れ方が違うとか…。

ひらめいた

そうだ!こんな時は上下盤の加工量をコントロールすればよいのでは?
と考えた私は上下盤の仕事量(研磨量)を確認してみました。

先日のKENMA研究会でも少し話題に出てましたね!

さて…ではどうやって上下の仕事量を確認するか?
これは意外と簡単です。
両面ラップ機において上下の仕事量を確認するためには、以下の3カ所の回転数を確認する必要があります。

①上定盤の回転速度 
両面ラップ 上定盤

②下定盤の回転速度 ③キャリアの公転速度及び公転方向

両面ラップ 下定盤

※厳密にはキャリアの自転も関係してきますが、今回は省略します。

※この3つの数値は機械の自公転比率の部分で確認する事が出来ます。

■自公転比率
両面ラップ 自公転比率

 

では上下盤のそれぞれの仕事量の計算してみます!
考え方は簡単なこちらです。

■上盤の仕事量⇒上盤の回転数 + キャリア公転数

■下盤の仕事量⇒下盤の回転数 - キャリア公転数

簡単ですね!では実際に数値をいれてみます。
こちらの数値通りに…
両面ラップ 自公転比率

■上盤の回転数(10rpm/min) + キャリア公転数(10rpm/min) =上盤の仕事量( 20rpm/min)

■下盤の回転数(30rpm/min) - キャリア公転数(10rpm/min) =下盤の仕事量( 20rpm/min)

この自公転比率ですと上下定盤の仕事量は共20となります。
つまり上下仕事量は1:1となります。数値上は同じ仕事量のはずとなります。

ここからそれを応用して…
上定盤の仕事量を増やしたい→上定盤の回転数を上げる、またはキャリアの公転数を上げる、もしくはその両方
下定盤の仕事量を増やしたい→キャリアの公転数のみを下げる。

という事が出来ます。
これがわかれば上下の面積が違うワークもコントロールが出来るようになります。
うまくやれば上下の面粗度が違うワークも…形状のコントロールも…(形状は試しましたが難しかったです…)
また仕事量のみを優先する場合は公転を0にするとか…という荒業も出来たりします!

上下の仕事量が気になる方は是非お試ください!!

 

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