前回の「砥粒突き出し高さのテスト」はこちら。
今回はちょっと一息…という所で「番手の違い」について考察しました。
一般的に言われる番手とは?の整理と、現場で触って感じたことを合わせて書いておきます!
固定砥粒にも番手があります。
砥石や遊離砥粒と同じで、粒が粗ければよく削れるけれど面は荒れやすい、粒が細かければ仕上がりはきれいだけど削るスピードは落ちる、という理解です。
とはいえ番手の数字だけで全てが決まるわけではない、というのが前回からkata-daの主張でした。
確かに物理的な話ですよね、突出してるダイヤで切る訳ですから、そのダイヤ突出量が少なければ少ない。大きけれ大きい。一方で高番手の方が切れる素材も存在します。深い世界です…。
色々なメーカーの固定砥粒を触っていると、同じ番手でも「よく削れるもの」「そうでもないもの」があります。
これは粒径そのものよりも、実際にどれだけ突出しているか(突出量)に依存しているのではないか、というのが今の仮説です。
例えば10µmのダイヤを使っていたとしても、
粒径そのものよりも「出ている部分」=実際に作用している部分の効果が大きい、という感触です。
感触というか物理的にそうですよね??
今Kata-daが突出量を数µm単位で狙って作り分けるってのをしているのですが、なかなか難しい様子です。
昔は日常的に突出量をマイクロスコープで見てたのですが、いざそれをµm単位でコントロールとなると…
この検証は今も続けていますが、理想的な「ダイヤだけがきれいに頭を出している」画像はなかなか撮れません。
なぜか、と考えると次の疑問に行き着きます。
固定砥粒面をドレスすると、イメージとしてはボンドも一緒に隆起し、硬度差でダイヤがわずかに頭を出す。
このとき効いているのは、やはりボンド材の摩耗特性だと感じています
つまり、同じ番手でも「突出量」を通じて効き方が変わる。
その突出量はボンドの性質に強く関係する。
結果として、番手の違いは粒径だけでは説明しきれず、砥粒+ボンドの複合特性として見る方が現実に近いのではないか、と思っています。
そして物理的にその双方(保持力とボンドの硬さの関係)に限界があると。
あれ?なんだか当たり前の事を言ってる気がします…。
そういえば過去に「特定素材だけ数µm突出させ、他は平面」という基板加工の相談を受けました。
硬い部分が自然と突き出すところまでは行くのですが、
突出量を数µm幅で狙って止めるのは想像以上に難しかった記憶があります。固定砥粒でもそれは似てるのでは…?
ほんとはもっと詳しく書きたいんですが、それは開発の内容になるのでは??と思い、この辺りに留めました!
実際にお越し頂いた際にはざっくばらんにお話します。
「番手=粒径」だけでなく「どれだけ出ているか」「ボンドはどう減るか」まで一緒に考えると、固定砥粒の見え方が変わってきますよね。
皆さんはどう感じますか?