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屈折率とアッべ数~メガネとコンタクトレンズ~

光学の世界ではよく「屈折率」や「アッべ数」という言葉が出てきますよね。
なんとなくは知ってはいますけど…理解しているか?と言われると微妙…
と言う所で今回はしっかり理解したいと思います!

屈折率とは?ー光が「曲がる」仕組み

光は空気や水、ガラスなど異なる物質を通る時にその速度が変わります。
速さが変わるということはその進む方向が変わるという事。
この現象を「屈折」と呼び、光の曲がりやすさを示す指標が「屈折率(n)」です。
光が物質を通った時に速度が変化する…と捉えると分かりやすいですね!

真空:1.000
水:1.33
ガラス:1.5
ダイヤモンド:2.4

屈折率が高いほど、光を強く曲げられる=光を”つかむ”力が強い材料という事になります。

アッべ数とは?光の色によって曲がり方が違う

屈折率とセットで出てくるのがアッべ数です。
これも計算式があって説明すると大変な事になるので簡潔にいうと
色による屈折率の変わりやすさ(分散)を表す指標です。

そもそも光には赤、緑、青など多くの波長が含まれています。
その波長によって屈折の度合いがわずかに異なる為、レンズを通過すると色ごとに焦点位置がズレます。

この「色によるズレの起きやすさ」を示すのがアッべ数

アッべ数が高い:色にじみが少ない(クリア)
アッべ数が低い:色が分かれやすい(にじみやすい)

材料屈折率nアッべ数v特徴
ソーダガラス(青板)約1.52約60色収差が少ない
フリントガラス約1.70約30高屈折ー色収差大
高屈折樹脂約1.67約35薄型化向き

ちなみに…真空のアッべ数はいくらなんだい?と調べると「無限大」…だそうです。
空気中だと約89.3もありました。

ちなみにこの光の7色は虹の7色ですね。
虹は内側が紫、外側が赤――これはアッベ数の違いによる光の屈折順でもあります。
これはもう自然の法則で決まってます。

ちょっと脱線…メガネとコンタクトレンズ

私は極端に目が悪くて家ではメガネ、外ではコンタクトレンズなのですが、メガネが未だに分厚いんですよ。
先日数年ぶりにメガネを新調しようとメガネ屋さんに行ったのですが、今の技術でもメガネは分厚いままでした。

同じ視力の補正なのに、なぜ厚みがこんなに違うのか?

答えは…光を「どこで曲げるか」が違うから。

メガネは「空気中で光を曲げる」

メガネレンズは角膜から10〜15mmほど離れた空気中にあります。
光は「空気 → レンズ → 空気 → 角膜」と進むため、
空気(屈折率1.0)とレンズ(1.5)の差=約0.5という大きな屈折を利用して焦点を合わせます。

ただし距離(空気層)がある分、
焦点を網膜に合わせるには光を強く曲げる必要がある。
つまり、レンズにはある程度の曲率=厚みが必要になるのです。

メガネが厚いのは「空気をはさんで、遠くで光を曲げている」から。

コンタクトは「角膜の上で光を曲げる」

一方コンタクトは角膜に密着しています。
光は「角膜(1.376)→レンズ(1.40)」と進むため、
屈折率差はわずか約0.03。
光を強く曲げる必要がありません。

角膜そのものがレンズの役割を持っており、
コンタクトはその延長としてわずかに補正するだけ
だから極めて薄く設計できるのです。

比較項目メガネコンタクト
光を曲げる場所空気中(角膜の外)角膜上(密着)
距離約10〜15mmあるほぼ0mm
屈折率差約0.5(大)約0.03(小)
光の曲げ方強い屈折わずかな補正
結果厚くなる薄くできる


つまり、メガネは「空気をはさんで遠くで光を曲げる」。
コンタクトは「角膜の上で近くで曲げる」。
この空気と距離の違いが、厚さの差を生んでいるんです。

今回は屈折率、アッべ数、R、メガネレンズ、コンタクトレンズについてお伝えしました。
深いですねー、そもそもこれに気付いた天才たちの頭はどうなってるんですか?!

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